bug-depayse presents
出演
野澤健(bug-depayse)
柿本亜紀
村上美緒
山口なぎさ
島崎真実
鄒亜伶(スウ・アレイ)
ヒラトケンジ
映像
大場裕介
莉空
中島侑輝
音楽
ASK
総合演出
宗方勝(bug-depayse)
記録・編集
Archifact

予告篇

本篇(54分)

本公演は、アルベール・カミュ『ペスト』を大胆に解釈しなおし、作品を通して個人と他者との関係性とは何か「集団と個」とはどのような事象として現れていくのかを考えながら、カミュの云う人間の不条理が現代にも通じることを舞台芸術であらわすことによって、コロナ禍の中で私たちが構築する社会で個人が他者と関係を結んでいくことの重要性を観客とともに作品を通じて共有することが目的であり、そのためにはアルベール・カミュの『ペスト』は私たちの力強い基底材となりました。

bug-depyaseでは近年、重度障がい者との共同舞台作品を制作してきました。ある種の不条理な身体が社会にとって不都合な身体として定義付けられるのであれば私たちはその定義そのものを転覆させるような舞台を目指してきました。転覆とは決して悪い意味ではなく、様々な差別が根付く社会を多様性のある社会へ変容させること、様々な社会的問題に対して寛容さをもって取り組んでいくことを指します。多様性と寛容さを糧としてそれらの社会的問題に対して取り組み続けることで、舞台芸術が持つ人々が生きていくための活力となりえると考えています。このような創作活動の中で、今回『ペスト』を題材に創作するにあたり、コロナウイルス禍と『ペスト』という作品がシンクロし、人間の不条理の世界、神なき世界を私たちはどう生きていくのかを深く捉えることで社会を形成する私たちが、この状況をどう乗り超えていくのか、乗り越えていくための活力をこの作品がなり得ると信じながら制作・発表しようと考えておりました。

しかし、公演直前の2021年4月、3度目の緊急事態宣言が発令され、劇場が休業することとなり公演中止を余儀なくされました。メンバー及び出演者たち、スタッフの落胆といったらありませんでした。そして何とかこの舞台作品を形として残せないだろうかと議論を重ね、今回の映像配信という形での発表となった次第です。舞台のライブ感を実際に感じることは難しいかもしれませんが、この作品に関わった人々の、皆様へこの作品を届けたいという思いや、このコロナ禍の状況の中においても舞台芸術がもつ人々が困難な状況を乗り越えていく大きな力の源になりえるという強い意志をどうか感じ取っていただければ幸いです。今後ともbug-depyaseの創作活動をどうか見守ってくださいますようお願いいたします。

bug-depayse

2001年結成。劇作・総合演出の宗方勝が代表を務める。演劇の枠にとらわれず、演劇・ダンス・パフォーマンスアートの領域を横断し、映像・音楽・美術をミクスチャーした作品を発表している。 近年は、障がい者の方々とともに創作する作品なども発表し、舞台芸術のジャンルに多様性を取り入れた作品を発表していくことで、舞台芸術の文化的・社会的な重要性を理念に掲げながら活動している。東京バビロン演劇祭2017において、『使者たち』が次世代演劇賞を受賞。その他に『bad seeds』 (2020年、シアター・バビロンの流れのほとりにて) 、『彼について知っている僅かな事柄』(2019年、d-倉庫 現代劇作家シリーズ9「日本国憲法」参加作品)、『愚頭-guzu-』(2018年、シアター・バビロンの流れのほとりにて)など。

http://bug-depayse.org

お問い合わせ:aruto1970@yahoo.co.jp